対(つい) 深海


息を、吐いた。
きらきらと光る、気泡が昇る。
落ちていく。
深く、深く。
ゆらゆらと揺れる水面が、光を歪ませる。
屈折する光は、オーロラのように綺麗だ。
思わず、口を開く。
すると当然水が割り込んできた。冷たい水が、口から入り込み一気に体中を巡り、空気を押し出していく。
息苦しいなんて、なかった。
ただ水の冷たさが狂おしく愛おしく思えて、頭の中は、どうすればこの水のようになれるんだろうということでいっぱいだった。
水はどこまでも澄んでいて、私が沈む度にどんどん広がっていく水面が、星空のように視えた。
「 」
水が入ってくるのにも構わず、言葉を紡ぐ。
「 」
誰にも、聴こえない。
「 」
最期の、風を生んだ。
ただ一つ、願いを籠めて。
水面へと、気泡が・・・風が、揺れながら浮かんでいく。
「 」
眼を、瞑る。
両手を水面にのばす。
そして、もう一度、願う。
私が、生んだ風が、世界をずっと流れていきますようにと。
ただ、流れていくだけでいいと。風なら吹き抜ければ皆が、振り返ってくれるだろう。
私という風に皆が、気づいてくれるだろう。
だから。
私の中から生まれた風よ、世界中の人に報せてください。
私はここにいるよ、て。
私はここに在るんだよ、て。
「 」
ちゃんとここに、生きていたんだから。
瞳を、開く。
水面は、ただ輝いている。
徐々に狭まる視界には、蒼色しかない。
水面の蒼が、空によく似ていて、浮かんでいるような錯覚に陥る。伸ばしたちっぽけな腕が、視界に在った。
最後の最期で、どうして思い知らされるんだろう。
私は、どうして大きな存在になれないんだろうか。
鼓動だけが、響く。
瞼が重い。
視界が淡い薄闇に包まれた。
少しずつ、確実に遅くなっていく鼓動が耳の奥で木霊している。
妙な浮遊感が、なんだか私が水の一部になったように錯覚させてくれた。
こぽ、と小さく、体の中の水が、音をたてた。


ソーダ水みたいな水の中。
泡が上に昇っていくのとは逆に、私の体は、下に堕ちていった。



息を一つ 吐く


ゴボリと音がして 上に往く

まるで天に召される 魂のように


真っ暗で何も見えない

そもそも目は水圧で潰れているのだから


水圧に負けた骨やら内臓やらがあると言うのに

まだ生きているのは何故?

息が出来ず苦しくて

酔ったように気分が良い


貪る時を待つ深海魚

もう  食べていいよ


何故なんだろう
どうしてなんだろう
同じテーマなのに
この 受け取り方の違いは
嗚呼 雲と泥の様・・・

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コメント

あははっははははは!!!

直ったよ!直ったよぅパソコン!!

やたぁっぁぁぁぁああ!!

これからちゃんとするからねぇ!!
うふふふふふふふふふふふふふふふふふふふ

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